ガツンとくるやつ、ください。

新作・旧作・ジャンル問わず。海外映画が好き。作品により多少のネタバレ含みます。

君を想って海をゆく

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君を想って海をゆく (2009年 フランス) WELCOME


クルド難民の17歳の少年ビラル。イギリスに移住した恋人に会うため密航を試みるも失敗し、最後の手段としてドーバー海峡を泳いで渡る決心をする。
えーそんな無茶な!そもそもチミ泳げないやんけ。


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戦火を逃れイラクから4000キロもの道のりを歩いてフランスにやって来たクルド人少年と ひょんなことから彼に水泳の指導をすることになったフランス人の離婚寸前中年男のお話です。

いかにも女性ウケしそうなロマンティックな邦題とは裏腹に、人間ドラマを描きつつ移民政策における不寛容さや無慈悲さを鋭く突いた社会派映画。

国籍も世代も越えて二人が育んだ友情と絆の物語、と言うと聞こえがいいかもしれませんが、本作のテーマはもっと深いところにあるような気がします。具体的にどうというのはネタバレになるので是非映画をご覧になってくんなまし。
ってのも不親切なのでざっと言うと「手が届かないかもしれないがそれを純粋に真っ直ぐに追い求める人間と、目の前にある大切なものをみすみす逃してしまう人間」という対極にある二人の人物がどう関わり合い影響し合っていくかですね。これが本作のキモの部分かなあと思うわけです。

さて、特訓の末泳ぎをマスターしたビラルはドーバー海峡を泳ぎきることができるのか。クルドの純情少年ビラル、一世一代の無謀な挑戦にいざ!
・・・ てか悪い事は言わんからやめときんしゃい。
運良く渡れたとしてもあの娘はもうね、待てない理由があるっちゃん。おばちゃんの言うこと聞いてフランスにおっとけ!なんて叫びが彼に届くわけもなく…。

 

終盤になるにつれ原題の『WELCOME』という言葉に込められた意味が痛いほど心に刺さってきます。そして「どうにかならんかったの、どうにかさあ・・・ うわぁぁぁん(ノД`)!!」と机をバンバン叩きたくなるようなやるせない気持ちでいっぱいになります。

移民(難民)側から見れば受入れ国の冷たさや非人道的な扱いに腹が立つ。しかし受入れ国側から言わせると移民の安い労働力のせいで自分たちの仕事が奪われるし犯罪も増えたりして本末転倒やないかい、となる。

「どうにかならんかったの」と書きましたが、実際は移民政策というのはいつの時代も非常に難しい問題であることは歴史が物語っておりますね。
我々日本人にはあまりピンとこない部分も正直ありますが、井の中の蛙にならないためにもこういう映画を観ることは大切だと思います。知らなければ何も考えられませんからね。

そんなわけで 『WELCOME』この映画とてもいいです。とてもいいのに邦題で損しています。
マーケティングか何か知らんけどこんなペラッペラの甘っちょろい邦題つけた配給は正座して小一時間。 (ry