ガツンとくるやつ、ください。

新作・旧作・ジャンル問わず。海外映画が好き。作品により多少のネタバレ含みます。

バスターのバラード / 西部開拓時代を生きた者たちの、死にまつわる物語

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バスターのバラード (2018年 アメリカ) The Ballad of Buster Scruggs / 監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン


ハリウッドきっての人気監督コーエン兄弟が手がけた、初のデジタル撮影による西部劇。ショートストーリーの6話オムニバスで、西部開拓時代の生き様や死生観を様々な背景と人物をとおして鮮やかに描きます。これはめちゃめちゃおもしろい。


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『ファーゴ』『トゥルーグリッド』などでその実力を見せつけたコーエン兄弟が放つ、ぶっ飛び西部劇です。
非情で残酷な死のところどころに垣間見える皮肉めいた滑稽さが何とも小気味よく、「あちゃー」「んはぁー」といちいち声を出しながら見入ってしまうというこの心憎さね。


いやほんとにね、一つの判断や行動から思いもよらぬ事象がピタゴラスイッチ的に起こってとんでもない結末になったとか、やる事なす事全てが裏目に出て「こんなはずじゃなかった」と嘆いて最後はもうヤケクソになるとか、わたしたち誰もに思い当たる節がありそうな「人間の不合理行動」オンパレードなんですよ。
『ファーゴ』もまさにこの不合理さを滑稽に描いた作品ですよね。



で、6つのお話のタイトルは以下の通り。

第1章 バスターのバラード
第2章 アルゴドネス付近
第3章 食事券
第4章 金の谷
第5章 早とちりの娘
第6章 遺骸


キャストもたいへん素晴らしく、また意外な人がいてびっくりです。
わたしの大好きなリーアム・ニーソンがおります。ひとでなしです。ジェームズ・フランコは間抜けです。トム・ウェイツは強欲じじいです。
全部のお話を書きたくてたまらんのですが、そこはぐっとこらえて、わたしのお気に入りを2つサクッと挙げてみますと、


第3章「食事券」
汚い身なりの老興行師が四肢欠損の青年を見世物にしながら小銭稼ぎの旅をします。
ある日、もっと金になりそうなものを見つけた興行師はそれを買い取り、不要になった青年を凍てつく川に投げ捨てました。

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第5章「早とちりの娘」
ある娘が兄とともに新天地を求めて旅をしています。兄が急死し心細いなか、頼もしい男に求婚されちょっと幸せ気分になります。
ところが娘は純粋すぎる故の行動で、とんでもない命の結末を迎えてしまいました。

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他のお話もユーモアや皮肉がピリリと効いてたいへん面白いです。「死」をテーマに脈絡なく綴られたお話が最終話できっちり締まるのもいいですね。この最終話では会話劇が一番の見どころでありましょう。

Netflix 独占配信という難点はありますが、加入していてこれを観ないのは非常にもったいない。
映像もびっくりするほど美しいのでぜひご覧ください。



When A Cowboy Trades His Spurs For Wings - Official Lyric Video - The Ballad of Buster Scruggs