ガツンとくるやつ、ください。

新作・旧作・ジャンル問わず。海外映画が好き。作品により多少のネタバレ含みます。

月に囚われた男 / 真面目なテーマを含んだ完璧な娯楽映画

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企業との3年契約で月に単身赴任している宇宙飛行士サム(サム・ロックウェル)は、エネルギー資源の枯渇した地球に燃料ポッドを送り続けるだけの単調で孤独な毎日を送っていた。
任務を終え愛する家族の待つ地球への帰還が近づいたある日、サムは不注意から事故を起こし重傷を負ってしまう。


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デヴィッド・ボウイの息子、ダンカン・ジョーンズ の長編映画デビュー作です。
大企業のエネルギー採掘現場にただ一人の期間労働者、単調な作業で奴隷のごとくこき使われ具合が悪くなれば使い捨て、という
現代の資本主義社会における底辺労働者の環境を近未来の月に置き換えたようなお話 ですね。


全体を通してほとんどサム・ロックウェルの一人芝居ですが、ひとりぼっちのサムの話し相手であるコンピュータのガーティの声をケヴィン・スペイシーが演じています。なんて贅沢な!

f:id:madamkakikaki:20200719213256j:plainできる子ガーティちゃん♡


てかガーティ、本当はサムの行動を監視して逐一会社に報告する役目なんだけど、長年(ここがポイント) 一緒に仕事をしてきて情が移ったのか何かとサムを庇ってくれるちょういいヤツ。

こいつもしかしたら後半でサムを裏切るかもしれんぞ、と思いながら観てたんだけど全く逆でした。はうう、オレは何て穿った見方をしてたんだ・・・(´Д` )ゴメンネ


先日観た『アド・アストラ』とはまた違い、建物内のデザインやコンピュータの見た目、ミニチュアを駆使した月面の特撮などは、60〜70年代のSF映画へのオマージュを感じさせます。

『2001年宇宙の旅』とか『イカリエーXB1』(←これ知ってる人は相当マニアックな部類) とかね、かなりツボる要素がてんこ盛りです。
要するにたいへん面白いということ。

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ある理由で二人になっちゃったサムですが(要するにクローンなんですね)、この「二人のサム」のやり取りを通した人物描写が非常に良くできていますね。
そしてそれをサム・ロックウェルが最高の演技力でもってより魅力的な主人公へと押し上げている。

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『ゼロ・グラビティ』なんかもそうなんだけれど、登場人物が一人二人しかいない密室劇にもかかわらずこれだけ楽しめるというのは、役者の演技力はもちろんですが、いかに脚本が丁寧に作られているかに尽きるとわたしは思います。
それだけに、ラストのナレーションはちょっと残念というか正直蛇足のような気がしてなりません。

「まあそうやろな」と予想はできるけれど、そこはさ、せっかくあの設定にしたのだから最後までミステリアスなまま余韻を残したほうがよかったんじゃないかなあー。


とにかくサム・ロックウェルの困り顔が抱きしめたいほど切なくてステキだったのと、ガーティの表情(ニコちゃんマーク)がちょう可愛かったのがさいこうでした。うちにもガーティ1台くれ!!



作品情報
▶原題 Moon
▶監督 ダンカン・ジョーンズ
▶脚本 ダンカン・ジョーンズ
▶製作年 2009年
▶製作国 イギリス
▶出演 サム・ロックウェル


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