ガツンとくるやつ、ください。

新作・旧作・ジャンル問わず。海外映画が好き。作品により多少のネタバレ含みます。

ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密 / 刃(やいば)を抜いたアウトな人たち

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世界的ミステリー作家ハーラン・スロンビーが、85歳の誕生日パーティーの翌朝に遺体となって発見される。警察は自殺だと断定したが、匿名の人物から依頼を受けた私立探偵のブノワ・ブランはこの死が不可解であると感じ、これは他殺であると推測する。

第一容疑者はパーティに参加していたハーランの子供たちと孫、家政婦、専属看護師ら屋敷にいた全員。調査が進むうちに遺族たちのもつれた人間関係や隠された謎が次第にあぶりだされ、ブランは事件の真相に迫っていく。



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一代にして巨額の富を築いたミステリー作家、ハーラン・スロンビーを演じるのは、『手紙は憶えている』でヨボヨボしながら仇討ちの旅に出たクリストファー・プラマー (御歳90歳)。

おじいちゃん映画好きとしてはもうこれだけで相当嬉しいのだけど、ジェームズ・ボンドとキャプテン・アメリカが一緒に出ている というのもかなり面白いですよね。


何しろ曲者揃いのハーラン遺族ですが、中でも特に焦ると声のトーンがめっちゃ上がる次男のマイケル・シャノンが好きです(キャラ的にの意)。
足が悪いのか杖をついてるというのがアクセントで、この杖があるシーンの(怖さの)演出に一役買っているのが何とも心憎い。
いや、もしかしたらあれはマイケル・シャノンのアドリブだったかも。まぁ何しろあんなふうに迫ってこられたら怖いて!!(笑)


で、クリス・エヴァンスに至ってはもうね、他人に「言葉が汚いぞ!」つって注意してたキャプテン・アメリカとは思えないほど汚い言葉を連発していてさいこうでしたよね。
ああいうギャップが見られるのはホント楽しい。

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皆さんかなり面白くて 一人ひとり紹介したいんだけどもめんどくさい楽しみが半減するので、あとはぜひぜひ映画を観てくださいまし。


ああそうだ、のっけから主役のダニエル・クレイグを差し置いてすまなんだ。
名探偵と言いつつどこか抜けてて胡散臭くて喋りだすと止まらない。刑事のラキース・スタンフィールドに「盛り上がってるところ悪いが」ってしょっちゅう話を遮られるのが面白かったですね。

せっかくだから『名探偵ブノワ・ブランのおしゃべり事件簿』とかでシリーズ化してほしいくらい。どうっすか、ライアン・ジョンソン監督!

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本作はアメリカ映画ながらどこかイギリスっぽい作風であり、『オリエント急行殺人事件』『ナイル殺人事件』 といった名作ミステリー映画を思い出させます。


なんでもライアン・ジョンソン監督はアガサ・クリスティの大ファンで、『ナイブズ・アウト』はアガサにオマージュを捧げるとともに 先述したような映画を参考に作った作品であるとのこと。

観た人はわかると思いますが、起承転結がはっきりしていてよく練られた見事な脚本です。
ものすごく研究したんだろうなあー。スターウォーズだけじゃないんだ。(失礼!)
や、ほんとに素晴らしい。

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「お屋敷・密室殺人・全員容疑者」という古典的な王道ミステリーでありながら非常に面白くて惹き込まれるのは、SNS上の問題とか「ググる」「インフルエンサー」などのネット用語とか、はたまた移民に対する差別や排除といった社会問題まで、現代的な要素が多分に含まれているからだと思います。

あ、そうそう、次男からNetflixの話が出てきたくだりはびっくりしたんですけど、もしやと思って見たらやっぱり早々に配信されてましたよね。
ネトフリめっちゃいい宣伝じゃないかおい、こんにゃろー!


てなわけでこちらもぜひ。
『オリエント急行殺人事件』の感想はこちら↓↓↓
berukocinema.info



長々と書いていてうっかり肝心なヒントが出てはいけないのでそろそろ終わりにしたいのですが、最後に本作のおもしろポイントを一つだけ。

容疑者たちはウソをつきます。でも彼らの記憶として挟み込まれるフラッシュバックの映像は事実です。

大抵 “全てが明かされるまで観客も何が正しいかわからない” というパターンが多いんですが、本作では最初から事実を見せてきます。それなのに途中から観ている側も疑心暗鬼になってきて「ん?ん?」と首をひねる。
このへんがね、非常に上手い作りだなあとわたしは思ったわけです。


ちなみにヒロインのマルタ(アナ・デ・アルマス)については あえて触れてきませんでしたが、彼女を見る目が変わるか否かは最後の最後でのお楽しみ。

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映画の冒頭で出てきた “My house, My rules, My coffee (私の家、私のルール、私のコーヒー)” と書かれたハーランのマグカップを頭の隅に置いて、上質な130分をぜひ堪能してください。




作品情報
▶原題 Knives Out
▶監督 ライアン・ジョンソン
▶脚本 ライアン・ジョンソン
▶製作年 2019年
▶製作国 アメリカ
▶出演 ダニエル・クレイグ,クリス・エヴァンスほか