ガツンとくるやつ、ください。

新作・旧作・ジャンル問わず。海外映画が好き。作品により多少のネタバレ含みます。

空と風と星の詩人 / この冷たき絶望の淵で

f:id:madamkakikaki:20200821202736j:plain


日帝時代の日本で治安維持法により逮捕され27歳で獄中死した韓国の詩人、尹東柱(ユン・ドンジュ)と、共に日本へ留学した従兄弟の宋夢奎(ソン・モンギュ)の生涯を描いた作品。

カラーとモノクロがうまく使い分けられた美しい映像に重ね合わされた詩の朗読が胸を打つ。



f:id:madamkakikaki:20200717103508j:plain


韓国映画やドラマの日本人はたいてい韓国の俳優が演じるので、日本語でも何を言ってるのかわからなくて「字幕つけてくれー」と思うこともあるんだけど、この映画にはそれがなくてとても聞きやすいです。

日帝の特高なんか完璧な発音なのでてっきり日本人だと思っていたら、キム・インウという韓国人の俳優さんでした。(もともと在日韓国人らしい)

また久美という女学生を演じたチェ・ヒソも流暢な日本語を話していてびっくりしました。この人も子供の頃日本に住んでいたことがあるとのことで納得です。


f:id:madamkakikaki:20200717103706j:plain


この映画は舞台がほぼ日本なので、意識して日本語が堪能な俳優をそろえたのかもしれませんが、おかげで変な日本語に気が散るようなこともなく、たいへん観やすくて良かったです。



f:id:madamkakikaki:20200717103541j:plain


前に『ラスト・プリンセス』を観たときもそうなんですが、この映画も日本人として非常に複雑で心の痛い内容であります。
治安維持法によって、日本人のみならず多くの韓国人留学生たちが不当に逮捕、収監されていたのですよね。


今さら「たられば話」をするつもりはないけれども、大好きな詩を書き続けることも故郷の地を踏むことも叶わず獄中死した若き才能に、心から哀悼の意を申し上げたいと思います。


尹東柱(ユン・ドンジュ)
詩集「空と風と星と詩」より 『序詩』

死ぬ日まで 天を仰ぎ
一点の恥ずることなきを
葉あいを縫いそよぐ風にも
わたしは 心痛めた
星を うたう心で
すべて 死にゆくものたちを愛しまねば
そして わたしに与えられた道を
歩みゆかねば
今宵も 星が風に むせび泣く


ドンジュが通っていた同志社大学には、日本語とハングルで刻まれた詩碑があるそうです。

カン・ハヌルが好きな人はもちろんのこと、韓国の文化や歴史を学ぼうとしている人には特におすすめしたい映画です。
カン・ハヌルの歌う主題歌が流れるエンドロールも必見。




作品情報
▶原題  동주
▶監督  イ・ジュニク
▶脚本  シン・ヨンシク
▶製作年  2017年
▶製作国  韓国
▶出演 カン・ハヌル, パク・ジョンミン