ガツンとくるやつ、ください。

新作・旧作・ジャンル問わず。海外映画が好き。作品により多少のネタバレ含みます。

めぐり逢わせのお弁当

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めぐり逢わせのお弁当 (2013) Dabba / The Lunchbox

【 最高のスパイスは、手紙でした。】


インドの都市ムンバイでは、家庭や業者の作った弁当を個別に集め、勤務先へ届ける弁当配達ビジネスなるものがあるそうです。あんなわちゃわちゃしてて本当に届くのかと思いつつ観てたんですが、誤配の確率は何と600万個に1個程度とのこと。

興味がわいて調べてみると、簡易的かつ正確で効率的なシステムが出来上がっていることにびっくりです。インドすごいな!

そんなわけでこの映画は、誤配された1つのお弁当をきっかけに、退職間近の孤独な男(イルファーン・カーン)と、家庭を顧みない夫を持つ主婦(ニムラト・カウル)が交流を深める姿を描いています。
それは600万分の1 という偶然のなせる業、いや神の思し召しと言うべきか。まさにインド人もびっくりよ。(死語)

イケおじ俳優イルファーン・カーンが、初老の孤独な男やもめを哀愁たっぷりに演じていて素敵です。デスクに届いたお弁当の匂いをたまらずクンクンしたり、手紙を盗み見されないかとキョロキョロしたりしてちょうかわいいです。


相手からの手紙は弁当箱が手元にくるまで見ることができません。今日は何が書いてあるのか楽しみでもあり不安でもあり、日毎に想いが募ります。そこにはメールとかSNSでは味わえない風情があります。心があります。

登場人物みんな、非常に個性的で魅力があります。いい奴だけどちょっとウザい後任者も面白いし、最後まで姿を見せないのに会話する声だけで圧倒的存在感の「叔母さん」なんか最高ですよね。叔母さんがいなかったらお話が成り立たない、それくらい重要な役割を実はこの「声だけの叔母さん」が担っています。

間違って届いたお弁当がつないだ縁、インドの経済成長を支える人々や学歴社会にあえぐ若者、家族関係の希薄化や増える孤独・・・。ファンタジックなロマンスと現実的な社会問題のバランスがとてもいいですね。お話にぐっと惹き込まれます。
観る者の想像を掻き立てるようなモヤッとしたラストシーンも良かった。

誰かの幸せを願うとはこういう気持ちなのかと、優しい気持ちで余韻に浸ります。とってもいい映画でした。


 

めぐり逢わせのお弁当 DVD

めぐり逢わせのお弁当 DVD

  • 発売日: 2015/03/18
  • メディア: DVD