ガツンとくるやつ、ください。

新作・旧作・ジャンル問わず。海外映画が好き。作品により多少のネタバレ含みます。

偽りなき者 / 冤罪よりも恐ろしいものとは

f:id:madamkakikaki:20200821213310j:image

偽りなき者 (2012年 デンマーク) Jagten / The Hunt / 監督:トマス・ヴィンターベア


離婚と失業を乗り越え幼稚園の先生として働くルーカスは、ある女児からの好き好きアピールをたしなめたことで彼女の反感を買う。

「わたしルーカス先生きらい。」女児が園長に放った何気ない一言が彼の尊厳を地に叩きつけ、人生を狂わせる。いわれなき性犯罪の冤罪事件のお話です。┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

観てる途中から「うわぁひでぇ!」と何度口をついて出たことか。
観終わったあともしばらくムカムカが収まらず、これ精神状態の悪いときに観たら間違いなく頭がどうかなるよな、と思うほど酷い話であります。

内容は違うけれど『ミスト』と同じくらい胸くそ悪い。言い換えれば非常によくできた映画ってことですね。

 

f:id:madamkakikaki:20200715115034j:image

あまりにも胸くそ悪いのでストーリーについては正直書きたくないんだけど、昨今とみに問題となっている「盲信」や「正義病」なんかと大いに関係する話なので そのあたりに少し触れておきたいと思います。


なんと言っても一番の元凶は、「子供は嘘をつかないのです!」という謎神話でもって女児の言葉を鵜呑みにし、さらに勝手な妄想を膨らませてまるで事実のごとく保護者たちに吹聴しまくったババア園長と、その園長の知人でこれまた気色悪い妄想で女児を誘導尋問したジジイ「なんちゃって専門家」。この二人のほうがよっぽど変態だと思うねオレは。

そして真偽のわからない噂や情報をなんの裏付けもなく盲信し、それはけしからん罰しなければ、我は正義の処刑人なりとリンチさながらの卑劣な行為に及ぶ輩ども。
あれ、なんか聞いたことあるぞ。そうそう、自粛警察という名の低知能で想像力の欠片もないアホンダラ。あの部類ね。


女児が嘘をついたことを認め、ルーカスは無実だったとわかっても、一度焚き付けられた悪しき感情は収まるどころか 彼は何度も酷い目にあいました。家に投石され、飼い犬を殺され、買い物すら断られ、殴られ蹴られ・・・

酷すぎるよ、あんまりだ。息子くんも辛かったね。


疑って悪かったごめんなさいと反省した人はもちろんいる。

でも疑惑が世間を一人歩きしてしまったら、一度ついてしまった悪いイメージはもう消えないんですよね。

f:id:madamkakikaki:20200829000606j:image

一生、後ろ指を指されないか危害を加えられやしないかとビクビクしてひっそり暮らさざるをえないかもしれない。

あまりの辛さに命を絶つ人もいるかもしれない。


疑いが晴れてもなお、ルーカスがこの理不尽さとまだまだ闘わなければならないことを示唆する衝撃的なシーンがラストに用意されています。
一部の鑑賞者のあいだで「あれは誰だ?」と盛り上がったようですが、そこは大して重要ではないと思います。まあわかったらわかったでサスペンス好きには面白いかもしれんけど。


それよりも『狩り』という原題(英題も) の意味がラストシーンでピタッとはまったときの「あー、ね!」ですよ。イヤだもう、人ってまじ怖い!!


北欧の至宝 マッツ・ミケルセンが醸し出す感情の機微が見事。やっぱりすごいなあ、この人は。ちなみに本作でカンヌの男優賞とってます。
モテマッツ、しょぼマッツ、耐えマッツ、おこマッツ・・・ いろんなマッツが楽しめるよ、お話は楽しくないけどね。

さあ、この胸くそ映画であなたも今日からマッツ沼!!( ´艸`)♡

但しくれぐれも体調の悪いときはご覧になられぬよう。。。