ガツンとくるやつ、ください。

新作・旧作・ジャンル問わず。海外映画が好き。作品により多少のネタバレ含みます。

みかんの丘

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みかんの丘(2013) Tangerines

【 さあ、皆で同じ食卓につこう。】


ジョージア(グルジア)という東欧の国があります。1991年にソ連から独立した、コーカサス地方にある共和国で様々な民族で構成されています。
ちなみにお相撲さんの栃ノ心の母国ですね。ソ連の最高指導者だったスターリンもジョージア出身です。

そんなジョージアに属するアブハジアという地域が、この映画の舞台です。

今は事実上アブハジア共和国として独立国家となっているとも言われていますが、本作はそのアブハジアの独立をめぐる紛争の時代(1992〜1993)を描いています。


主人公はみかんを出荷するための木箱を作っているエストニア人のおじいちゃん(レムビット・ウルフサク)です。近所にみかん農家の友人がいます。
ある日おじいちゃんは銃撃戦で負傷した2人の兵士を家に入れ、介抱し匿ってあげます。ところがこの2人、アブハジアの傭兵であるチェチェン人とジョージア人という敵同士でした。
ただでさえ今は戦争状態、お互い負傷しているとはいえ敵が目の前にいるわけですから、双方とも殺気立っております。隙あらばぶっ殺してやると。

そんな緊張した空気の中、おじいちゃんは「ここは戦場ではない、私の家だ。家の中での殺し合いは許さん」と制します。

年の功というか人間性の表れというか、このおじいちゃんの状況に合わせた場の収め方が非常にいいんですね。
おじいちゃんは多くを語りません。毅然とした態度を見せますが説教がましいことは言いません。2人の兵士も老人には敬意を払うと言い、徐々に関係が変化していきます。

冗談言ってみんなで笑いながらバーベキューするシーンなんか良かったですねえ。ああそれなのに。


国家とか民族とか領土とか、大義名分を背負うと人は戦争をする。そして兵士だけでなく多くの人々の命を奪い、生き残った者の人生を翻弄する。人類の歴史は戦争の歴史であるとも言われますが、地球が滅亡でもしない限りそれは続くのでありましょうか。
おじいちゃんがチェチェン人兵士に「(民族間で)何か違いがあるか」と尋ねて「いや、何もない」と答えるシーンがとても印象に残っています。

押し付けがましい道徳映画ではなく、会話劇と絶妙な「間」が素晴らしい良い作品でした。

わたしの好きな「おじいちゃん映画」なのも良かったです。おすすめです。


 

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  • 発売日: 2017/05/03
  • メディア: DVD