ガツンとくるやつ、ください。

新作・旧作・ジャンル問わず。海外映画が好き。作品により多少のネタバレ含みます。

スキンウォーカー / 発想の転換がすごい!性癖に刺さりまくる哀しき怪物の物語

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他人の命と記憶を吸収しないと生存できないその怪物は、体が腐り落ちる前に次々と他人の人生を乗っ取りながら生きてきた。
しかし彼はそんなことを好きでやってるわけではなかったし、だいいち自分が何者なのかもわからない。

そんな怪物の唯一の願いは、愛する女性ジュリアのそばにいたいということ。
しかし最近は数日で体の腐敗が進むようになり、前回と同じ姿で彼女に会うことも正体を明かすこともできない。
だがある日、ついに待ち望んでいた運命の日が訪れる…。



いやー これは切ないお話だなぁー。
すごくいい映画なのにまるでB級ポンカスSFホラーみたいなDVDジャケなんなん?
あんな『スピーシーズ』みたいなやつ背中から出たりしないから!「宇宙で最も凶悪な侵略者 」とかでもないから!
配給はちゃんと映画みたの? 担当者はちょっと正座して小一時間 (ry



『スキンウォーカー』という ジェームズ・ワンも絶賛したらしい面白い作品がある、と聞いてレンタル屋に行ったものの見つけきれず、よく調べたらなんのこたない、目の前にあったやつやがな。 『寄生体XXX』


・・・いやタイトル変わっとるがな。しかもダサいがな。
(日本公開時は『スキンウォーカー』だったそうです。そのままでいいのに。)

こんなん↓↓↓ ふざけてんのか?

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というわけで 一抹の不安を胸にとりあえず借りてみたんですけど、
これがまあ予想をはるかに超えて良かったんですよ!!



まず、怪物が生きていくために次々と他人に擬態しても、個々の記憶は上書きされるのではなく蓄積されるというのがなかなか興味深いです。

まぁそれゆえにいろいろ悩み困ることもあるのだけれど。辛く悲しい記憶や忘れていいような記憶も全て残っていくんですからねえ。

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実は怪物さん( あえて「さん」をつけさせてくれ!) が愛してしまったジュリアは、過去に姿を変えた男の妻でした。
その男の、妻への深い愛情を自分のものとして取り込んでしまったため、怪物さんはジュリアに執着するようになっていったんですね。


そんな生き物であるばっかりに 愛を知ってもその愛を誰かに与えられず、誰からも得られない怪物さん。

怪物に生まれたことが悪なのですか?
怪物だから生きていてはいけないのですか?
そんな悲痛な叫びが聞こえてきそうで、ワシは切のうて哀しゅうてもう・・・
。゚(゚´Д`゚)゜。ウァァァン


ジュリアに「こんな自分は生きていてもいいんだろうか」と悩みを打ち明けたとき、その正体を知る由もない彼女に「あなたの存在は悪じゃないわ」と言われた怪物さんはどんなに嬉しかっただろうかと思います。

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さてどちらが怪物さんでしょう?



怪物さんが「最初に取り込んだのは母だった」と告白するシーン、またラストで「自分がどんな存在なのか誰にもわからない」という怪物さんの独白があるのですが、本作のお話はつまり生命の神秘そして人生の縮図のデフォルメなのではないかなあと思います。


わたしたちは母親から命を取り込み (誕生)、成長とともに様々な経験や学びを重ねていきます(記憶の蓄積)。

物事が上手くいけば自信を持ち、失敗すれば挫折を味わう。幸せそうな誰かを羨ましく思ったりあの人みたいになれたらと憧れる。
そんなふうに様々な喜怒哀楽を繰り返しながら自分探しをしてみたり、自分の存在意義について考えたりもする。

そして次第に歳をとり身体にはガタがきて、日々老化する姿に愕然としながらも やがて訪れる死から目を逸らすように薬を飲んだり必死で若作りしたりして(えっワシのこと?) 身体をごまかしごまかし生きている。


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怪物さんが自身の運命を受け入れ、その生命の旅に終止符を打ったかのようなクライマックスのシーンは、もう胸が詰まって辛かったです。

そしてそのあとの、何と表現していいのか迷いますけれど(これ言っちゃうと肝心なところのネタバレになるんだよなあ… ) まあなにしろ、

ギョッとするほど気持ち悪くて、それでいて美しく神々しいビジュアルのアレ
がすごすぎて、ワシ卒倒してそのまま死ぬかと思いましたよね。



というわけで、一見ヘンテコなようでファンタジックで実はとても深いこの映画、決して万人受けはしないけれど 好きな人にはハマるのではないかなあと思います。

わたしはかなり好きです。くれぐれも日本版ジャケットに騙されないように!!


作品情報
▶原題 LIFECHANGER
▶監督 ジャスティン・マコーネル
▶脚本 ジャスティン・マコーネル, アビ・フェーダーグリーン
▶製作年 2018年
▶製作国 カナダ
▶出演 ローラ・バーク, ジャック・フォーリーほか