ガツンとくるやつ、ください。

新作・旧作・ジャンル問わず。海外映画が好き。作品により多少のネタバレ含みます。

人生、ここにあり!

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人生、ここにあり!(2008) Si può fare

【 物事は、やってみなけりゃわからない。】


1978年に世界初の精神病院廃絶法である「バザリア法」が制定されたイタリアを舞台に、精神病院から追い出された「元患者」たちが一般社会で生活する、という社会実験が行われた時代の実話をもとに作られた人間ドラマです。

本作のモデルとなった組合のスローガン「やればできるさ」がそのままタイトルになっていますが、なんで「人生、ここにあり!」なんて古臭い(むしろ恥ずかしい)邦題に変えちゃうんでしょうかね。
ダサい邦題に文句ばかり言ってますけど、タイトルというのは作品を一言で端的に語る重要なものであり、タイトルを聞けば「ああ、あの映画ね」とすぐ思い出すようなものでなければならないとわたしは思っています。なに、うるさい邦題ババァだと? 邦題ババァ上等じゃねえか、どっからでもかかってきやがれこのやろう。

つい熱くなってしまいましたすいません。更年期なもんでお許しを。
で、映画のお話ですけれども、実に個性的で面白い人たちがいろいろおります。

抗精神薬の量が多すぎて具合悪くなってる即ギレ男、その男に依存しちゃってるガラスの少年(いや青年)、サメのごとく目力ハンパない自閉症男、UFOに年金もらってるらしい怠け男、あたし彼氏100人いるの妄想女、責任感が空回りのザ・几帳面男、スピード恐怖症で2速までしか出せない男・・・ などなど。

そして彼らの面倒をみることになるのが主人公のクラウディオ・ビジオです。薬漬けでぼーっと引きこもるのではなく働いて自分で稼ぐ楽しさとかやりがいとか、人に認められたり褒められたりする喜びとかを身をもって教えていくんですね。
もちろん精神障害者ですからいろんなトラブルや偏見に見舞われます。医者ですら「精神病は治らないんだから薬たくさん飲ませとけ」みたいな態度です。


彼らは床の寄木細工で良い仕事ぶりを見せました。はからずも勝手にやったデザインがアートとして認められ、仕事がばんばん舞い込みます。「やればできるじゃないか!」

精神障害者が心の赴くままに作り上げる作品はアール・ブリュット(生の芸術)と呼ばれ、もはや公的に認知されたジャンルとして確立しています。彼らの働きはまさにアール・ブリュットを世に広める一助となったのではないでしょうか。とても素晴らしいことですね。
クラウディオの言うことがわかってるのかどうかも疑わしかった彼らが適材適所で仕事を任され、働く人として成長していく様子がとても良かったです。

いろんなハプニングで笑える場面もたくさんあります。薬を減らしたら元気が出てきて「買い物したい!」「せっくすしたい!」とか言い出すの超おもしろい。

またクラウディオ自身の問題や恋人との関係などを絡めながらお話が進行しますので、展開にぐいぐい引き込まれていきます。
精神障害者の自立という難しい問題を、イタリア人らしいユーモアで表も裏もきっちり描くこの映画、ぜひ多くの人にご覧になっていただきたいと思います。おもしろいよ。


 

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  • 発売日: 2012/06/02
  • メディア: DVD