ガツンとくるやつ、ください。

新作・旧作・ジャンル問わず。海外映画が好き。作品により多少のネタバレ含みます。

ルワンダの涙

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ルワンダの涙 (2005年 イギリス・ドイツ) Shooting Dogs


1994年のルワンダ虐殺を描いた史実ドラマ。一年前に作られた『ホテル・ルワンダ』同様 虐殺の生き残り(ツチ族)たちを施設で匿ったという実話ですが、こちらは公立学校が舞台です。
学校の運営に携わるNGOの神父さんと英語教師という二人の西洋人の視点で描く、第三者巻き込まれ系ストーリー。

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以前『ホテル・ルワンダ』の感想でも書きましたが、ルワンダ虐殺は 当時ルワンダを植民地支配していたベルギーの “えこひいき政策“ により優遇されていたツチ族がそれを妬んだフツ族に襲撃され、100日間で100万人が殺害されたという非常に恐ろしく忌まわしい事件であります。

かろうじて虐殺を逃れた人々が駆け込んだ先に第三者である西洋人や国連軍の兵士がいるというのは多少の抑止力があります。しかしそんなのは一時の気休めでしかありません。

しかも国連軍の駐留は平和維持活動とされていたため、フツ族に対して発砲することを禁じられていたんですね。なので奴らはやりたい放題に、匿ったツチ族どもを出さないなら神父だろうが国連軍だろうがMINAGOROSHI すっぞ!という態度で迫ってくるわけです。

虐殺が起こっている事実があるのに何をのんびり平和維持活動とか言ってんだよと思いますが、実際のところ当時の国連はルワンダに関して非常に消極的で、というより関わりたくなかったのか知りませんが「いやぁ虐殺とかちょっと大袈裟すぎるんじゃね? こっちはちゃんとやってるよ」てなことを言ってたんですねえ。どうかしたらルワンダなにそれどこの国レベルじゃないの。

これについては当時ルワンダに派遣されていた司令官が激白しています。いかに西欧諸国がルワンダ虐殺に無関心であったか、いかに国連がポンコツであったか。
この人はご自分の無力さを嘆き 自殺を試みるほど相当に心を病んでしまわれたそうです。

と、ここまで書いてきてまた腹が立ってきましたのでお話を戻しますと、神父さんと先生はどうにかしてツチ族の人々を国連キャンプまで避難させようと頑張るわけです。もちろんそれは容易いことではありません。命がけです。
「巻き込まれたくないしなー、めんどくせぇなー」と国連が手をこまねいている間にNGOの民間人が虐殺に巻き込まれ命を落とすとは何という皮肉。

原題の『Shooting Dogs』は文字通り犬を撃つことですね。完全武装のフツ族が銃をぶっ放してきても撃ち返せない。その代わり(と言っては変ですが)そのへんに転がっている死体を食い荒らす野良犬を撃つんです。
これはね、ものすごく辛辣な風刺ですよ。国連など役に立たないということです。『ルワンダの涙』どころじゃないですよ。悲しみではなく怒りです。ここでもまた映画の持つメッセージを邦題が台無しにしましたね。情けない。

というわけで 相変わらず邦題に文句ばっかり言ってますけれど、映画でも本でも内容を読み解いたりメッセージを汲み取るうえでタイトルというのは非常に重要だとわたしは思っていますのでね、ここは譲れないんです。
うるさい邦題ババアと笑わば笑え、オレはこれからも吼え続けるからな。ワンワン!!(撃たないでね)

正直なところ わたしは『ホテル・ルワンダ』を観るまでルワンダ虐殺についてほとんど知りませんでした。そしてさらに本作を観て、この事実は多くの人が知るべきであり風化させてはならないと改めて思った次第です。
どちらか一つでも良し、二部作のように両方観るのも良し。もしわたしのように「自分は平和ボケしてるなあ」と思う人がいたら、ぜひご覧になっていただきたいと思います。衝撃です。

 

 

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