ガツンとくるやつ、ください。

新作・旧作・ジャンル問わず。海外映画が好き。作品により多少のネタバレ含みます。

あなたの名前を呼べたなら / 愛するあなたは雇い主

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あなたの名前を呼べたなら (2018年 インド・フランス) SIR

 

 

昨日ニコやんのせいでマンディ化した脳内を浄化すべく タイトルからして胸キュンな映画を観たですよ。何事にも軌道修正は大事って昔じっちゃん言ってたもんね!

さて、お話の舞台はインドのムンバイです。経済発展著しいインド最大の都市ですね。
主人公のラトナは、大手建設会社の御曹司アシュヴィンに仕える住込みの家政婦です。
若くて結婚させられたものの早々に夫が病死し、19歳で未亡人となりました。以来 家政婦の仕事でお金を稼ぎ実家に仕送りをしています。

一方のアシュヴィンはアメリカ帰り。ハンサムで思いやりのある性格で伝統や格式にとらわれず、ラトナへの偏見もないとくれば これはもう惚れちゃっても仕方ないんでねぇの、と下世話なことを考えてしまいますけれど、何せここはインドです。いくら本人たちが良くても身分違いの恋など許されるはずもありません。


でもね、でもね、二人の想いは募っていくんですよ。ああもどかしい。

いつまでも「サー (旦那様)」と呼ぶラトナにアシュヴィンは名前で呼ぶように言いますが、ラトナにしてみればそんなことはできない。あくまでも自分は使用人であり相手は雇い主なわけですからね。
アシュヴィンへの想いと身分制度の板挟みに耐えられなくなったラトナは家政婦を辞める決心をします。
家政婦部屋で荷物をまとめながら初めて涙を流すラトナ。ひとり嗚咽する姿にこちらも胸が苦しくなります。

身分違いの恋というのは非常にドラマ性がありますし、叶わぬ想い・悲劇のヒロインともなればなおさら身悶え度が高まりますが、ラトナは芯が強く勇気ある女性です。「どうせ私なんて・・」と悲しみに浸ることはしません。ファッションデザイナーという夢を持ちそのために裁縫教室に通うなど自立心も持ち合わせています。
同じ女性としてほんとに素敵な人なので ますます応援したくなるし、もうさ、この際二人でアメリカ行っちゃいなyo!なんて思ったりしましたけどね。
しかしそうなるとラトナの身内が田舎で肩身の狭い思いをするのかなあ。女は一度未亡人になったら一生誰とも結婚できないって言ってたし、いやはや難しい問題だなあと。あーもう、身分制度のバカバカバカ!!

そんなこんなでアシュヴィンの家を出たラトナですが、神様どうにかしてあげてと思うわたしの気持ちが天に届いたのか(絶対に違う) とっても素敵なラストが待ち受けています。
二人がくっつくとかそういう陳腐なもんじゃないですよ。これはね、奥ゆかしさのある非常にいいシーンです。
思えば同じインド映画の『めぐりあわせのお弁当』でもそうでしたね。何となくいい予感のするラスト。この「何となく」がいいんだなあ。

このご時世に未だもって根強く残る身分制度や結婚における性差別ってどうなの、という問題提起をしつつ そんな社会にあっても自立を目指して頑張る女性の強さや、恋をしたり夢をいだく自分の心に素直であろうとする健気な姿をきっちり描ききった秀作です。
いいです。とてもいい。邦題も的確かつセンスがあって素敵ですね。