ガツンとくるやつ、ください。

新作・旧作・ジャンル問わず。海外映画が好き。作品により多少のネタバレ含みます。

500ページの夢の束

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500ページの夢の束 (2017年 アメリカ) Please Stand By


自閉症の女の子が、コンテストに応募するオリジナル脚本を届けるためハリウッドまで数百キロの旅をするロードムービー。各所に散りばめられた『スター・トレック』の小ネタが楽しい。
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『アイ・アム・サム』の名子役から演技派女優へと成長したダコタ・ファニング。21歳という設定ですが、ティーンエイジャーのような表情が実に可愛かったです。

ダコタ演じるウェンディは 筋金入りの『スター・トレック』オタクです。ある日続編の脚本コンテストがあることを知った彼女は、427ページの練りに練ったオリジナル脚本を書き上げます。ところがとあるアクシデントが起きて郵送が間に合わなくなり、ウェンディは自分の手で映画会社に届けることを決心します。
と言ってもウェンディは自閉症。決められたルーチン以外で動くというのは簡単なことではありません。果たして彼女は、人生で初の大きな目標のためにハリウッドを目指し旅することができるのでしょうか。

 


原題の「PLEASE STAND BY」は「そのまま待機」という意味で、ウェンディがパニックにならないよう落ち着かせるための言葉です。『スター・トレック』を観た人ならおわかりですね。
状況が見えないときに宇宙船のクルーたちがそうしたように、旅の道中で色々なアクシデントに遭遇するたび、この言葉が彼女を支えます。お話のキモからして実にドンピシャのタイトルですね。
それにしても『500ページの夢の束』とは、いかにも日本人が好きそうな安っぽい邦題じゃのう。しかもお得意の水増しとは。まぁ『ぼくのエリ 200歳の少女』よりはましですけどね。ありゃひどい。

本作は、『スター・トレック』に登場する“スポック”というキャラクターとウェンディの姿を重ね合わせる形でお話が進みます。
スポックは感情をうまく表現できず、コミュニケーションについて悩んでいる人物。今で言うところの発達障害みたいな感じですね。いわば脚本の中のスポックがウェンディ自身なわけです。そして、彼女にとって『スター・トレック』こそが、日々の生活を現実社会と繋げるためのフィルターなんですね。

この世界観は、監禁されてクマの番組ばかり見せられていた青年のお話『ブリグズビー・ベア』にも似ています。そういえば『ブリグズビー・ベア』でもスター・トレックの小ネタがありましたね。

というわけで、ウェンディの “はじめてのおつかい” ならぬ “初めての一人旅(+犬)” 。予想どおりいろんなハプニングがあって大変ですけれど、ちゃんと見守ってくれている人がおります。助けてくれる人もいます。機転を利かしてスター・トレックネタをかましてきたお巡りさんなんか最高でしたね。


自閉症を“特異で特殊な能力” のように描かず、特別視したり美化することもない。こういう作品は美化した途端にポンコツになりますのでね、脚本コンテストの結果がああなったのは良かったと思います。

そして犬ね、犬が良かった。あのワンちゃんにぜひ助演男優賞あげてください。



 

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  • 発売日: 2019/04/03
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