ガツンとくるやつ、ください。

新作・旧作・ジャンル問わず。海外映画が好き。作品により多少のネタバレ含みます。

ぼくのエリ 200歳の少女

f:id:madamkakikaki:20200822140642j:image

ぼくのエリ 200歳の少女 (2008) Let the Right One In

【⠀隣りのあの子は吸血鬼。】


本作の監督は「裏切りのサーカス」のトーマス・アルフレッドソン。スウェーデンの小説『MORSE -モールス-』が元になっていて、原題は「正しき者を招き入れよ」という意味。

邦題の「ぼくのエリ」はまあいいとして、「200歳の少女」は酷いにも程があります。200歳なんて誰も言ってませんからね。

さてこの映画は、12歳のいじめられっ子オスカーが、隣に越してきた不思議な少女エリと出会うお話です。エリは人の血を飲まないと生きていけません。なので、同居の男が人を殺して血を集めています。町で謎の連続殺人事件が起きているのはそのためです。

吸血鬼と恋に落ちる映画はいろいろあります。なので本作も特段変わった設定というわけではありません。にもかかわらず斬新で心にガツンとくるのは、オスカーとエリの未熟すぎるゆえの愛つまり「性愛を伴わない愛」を描いているからなんですね。


性を超越した愛、それは美しくもあり残酷でもあり、見方によっては非常にエロティックでもあります。それを決定付ける重要なシーンで日本版にはボカシが入っている、これはけしからんです。肝心のテーマを歪め、映画の質を貶める愚行ですよ。海外版にはボカシありません。レイティングを引き上げてでもボカシをかけずに公開すべきでした。
・・・っと、ちょっと鼻息荒くなりましたが、きっと同じ思いでご覧になった方も多いと思います。どうですか。

オスカーやエリ以外の人物の描き方もいいですね。個々について詳しい背景を述べずとも、どんな人物なのかよくわかります。
舐め回すようなクローズアップや思いきった引きの描写でメリハリがあるのもいい。
吸血鬼・殺人・子供・大人・雪景色・日常生活と色々な要素が北欧映画の世界観と相まって、この映画を極めて文学的な作品に高めているような気がします。

この先オスカーはエリのために血を集めることになるのだろうか。大好きなエリのために殺人鬼となって何十年も共に暮らし、最後は自らの命を差し出したあの男のように。
エリと一緒に町を出る楽しそうなラストシーンに何とも言えないそら恐ろしさを感じたのは、わたしだけではないでしょう。
ちなみに元々の「モールス」というタイトルでハリウッドリメイク版があるのですが、そちらはわたし観ていません。大体の予想はつきますので。


 

ぼくのエリ 200歳の少女 [Blu-ray]

ぼくのエリ 200歳の少女 [Blu-ray]

  • 発売日: 2014/03/26
  • メディア: Blu-ray