ガツンとくるやつ、ください。

新作・旧作・ジャンル問わず。海外映画が好き。作品により多少のネタバレ含みます。

8番目の男 / はじめてのさいばん

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8番目の男 (2019年 韓国) 배심원들 / Juror 8


クォン:陪審員8番さん。若干天然で心優しい青年。優柔不断が玉に瑕。
キム裁判長:真面目で優秀な裁判官。ポーカーフェイスの原則主義者だが情に厚い面も垣間見える。

韓国初となる国民参与裁判の陪審員に選ばれた8人の男女が すったもんだしながら彼らなりのやり方で真実に迫っていくお話。
個性豊かな陪審員たちの滑稽なやり取りに笑い、早く終わらせたい裁判官との攻防に息を飲み、やがて見えてきた意外な真相に胸が締め付けられます。

裁判は有罪ありきで始まります。事件は中年の息子が母親を殺害したというもの。本人の自白・目撃者の証言・証拠物件が揃っており 陪審員たちは量刑について審議すればよかった。
ところが被告人が突然自白を翻したもんだからさあ大変、スムーズに進むはずの裁判は思いがけない展開となりもうてんやわんやです。

裁判長としてはお上の一存で結審したいけれど、初の国民参与裁判という歴史的な一日に全国民の目が注がれているため陪審員をないがしろにはできない。いくら陪審員が素人集団でも疑問点を指摘されて「うるせぇ黙れ」とは言えないわけです。


で、結局陪審員たちは事件を一から洗い直し 有罪か無罪かを話し合うことになるんですが、この過程が非常に面白い。
最初は被告人や事件についてバイアスがかかっていますからやる気もないしできれば早く終わらせて帰りたい。
ところが素人なりに調べていくうちに全く違った見方が生まれてくる。逆に言えば素人だからこそ気付けることもあるわけですね。

で、こうして裁判を一転させるきっかけを作ったのが8番目の陪審員クォン(パク・ヒョンシク)であります。
わからないことを素直にわからないと言っちゃう 良く言えば小学生みたいな可愛さ、悪く言えば優柔不断なところがあるんですが、そんな世間擦れしてない純粋な心のなせる言動がやる気のない陪審員を次第に本気にさせ、キム裁判長の心をも動かしていくことになります。このへんのドラマはとてもいいですね。
8番君の一生懸命さと個性のありすぎる陪審員たちの一挙手一投足がユーモラスに合わさって 爆笑こそしないけれどなんか可笑しくてグフグフしながら観てましたよね。やっぱり役者さんの技量だなあ。

キム裁判長を演じたムン・ソリの大女優オーラもさることながら、パク・ヒョンシクの脇を固めるベテラン俳優 ユン・ギョンホ(3番さん) そしてチョ・ハンチョル(5番さん)ね、この二人の存在感が非常に良かったです。
8人いたらこういう人絶対いるよね、って感じでもう笑えてさいこうでした。

日本でも2009年から裁判員制度による裁判が始まっていますね。わたしは経験がありませんが、こういう映画を観ると自分にいつ指名通知が来るかとヒヤヒヤします。あれ拒否権ないんですよね。
まあそれはそれとして、実話を再構築したお話ということでどこまで脚色されてるかわかりませんが、事実は小説よりも奇なりと言いますからびっくりするような裏話があるのかもしれませんね。や、面白かったです。
あの掃除のおばさんはたぶん裁判所の妖精だな!!