ガツンとくるやつ、ください。

新作・旧作・ジャンル問わず。海外映画が好き。作品により多少のネタバレ含みます。

消された女 / 私は狂ってなんかいない

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消された女 (2016年 韓国) 날,보러와요


時事番組のプロデューサーに届いた一冊の日記によって暴かれる、恐るべき拉致監禁事件。

『消された女』という邦題がついていますが 原題は『私に会いに来て』。会いに行ったら何がわかるのでしょう、何が目的なのでしょう。意外すぎる展開にしばらくお口あんぐりです。おもしろい。

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冒頭、街中で若い女性がいきなり黒づくめの男たちに拉致されるシーンでびっくりします。
実はこのシーン、予告無しで隠し撮りしたため通行人たちがたいそう驚いたそうです。そりゃそうだろうよ、慌てて警察に電話した人とかいるんじゃないの。人騒がせな撮影だなぁ全く。

 


さて、本作の大半を占める“衝撃的な事実” の映像は、日記を書いた女性の記憶にもとづくものであり、取材するプロデューサーが彼女の話を頭の中で映像化しているものでもあります。
つまりモノローグ形式の映画における「信用出来ない語り手」と同じで、観ている側は何が真実で何が偽りなのかわかりません。全部本当かもしれないし全部ウソかもしれない。


でもそれは映画を観終わって「そうなんだよなあ、してやられたなあ〜」と思うのであって、観ている最中はあまりにもエグいシーンに釘付けになりながら心が翻弄されまくりです。


後半である登場人物の位置付けが若干わかりにくいというのはありますけれど、ミステリーとしてはかなり高度な手法で攻めてきたなと感心しましたね。
やっぱりミステリー映画を観るときは一言一句聞き漏らさないようにしないと。まあわたしの場合は海馬が老化してますから、ちゃんと聞いてても次のシーンで忘れてしまってるんですけどね。
なので内容を咀嚼するために映画は最低でも二回続けて観ます。誰かDHAのサプリ送ってくんろ。

 


韓国の社会派映画は題材と言い 切り込み方と言い 忖度なし容赦なしでズバッとやってくれるところが素晴らしいなあと常々思っているんですが、それだけに国の政策や社会への問題提起という点で国民の意識に大きく働きかける作品も多々あります。 どうかしたら世論が法律さえも変えてしまう。


児童養護施設での性的虐待を暴露した『トガニ』という最強最悪胸くそ映画(褒めてます)がありますが、あれの公開後「トガニ法」(通称)という法律ができましたね。本作の場合も精神保健法の改正がなされていますので、映画を制作した意義は非常に大きかったのではないでしょうか。

そんなわけで、初めて観て「えぇぇーっ!」と驚き 二回目観て「わーこれ伏線やんけ超おもしろいんだけど!」となるよく出来たミステリー映画でありました。ラストも良かったね。