ガツンとくるやつ、ください。

新作・旧作・ジャンル問わず。海外映画が好き。作品により多少のネタバレ含みます。

孤独なふりした世界で

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孤独なふりした世界で (2018) I Think We're Alone Now

【 見せかけの孤独に、寂しさはあるか。】


その演技力の高さで名脇役として活躍するピーター・ディンクレイジ主演のアポカリプス映画。

この人は先天性の疾患で身長132cmと小さいんですけれどなかなかの男前ですよね。本作では寡黙で不器用なとっつきにくい主人公を好演しています。


人類の大半が死に絶えた(らしい)理由の詳しい説明はありませんが、唯一の生き残りである(らしい)ピーターさんは他人の家を掃除したり死者を埋葬したりしながら暮らしています。
そこへ突然現れるのがエル・ファニングで、ピーターさんの気ままな一人暮らしに入り込んできたもんだからたまりません。ずっと一人で生きてきた人にとっては、急に誰かがやってきて自分の生活ペースや環境を乱すというのは迷惑千万なわけです。でも彼女は一人ぼっちは寂しいと言う。さて困ったどうしよう。

で、ここから終末期における男女の奇妙な共同生活が描かれていくわけですが、ラブストーリーになりそでならない寸止め感が非常にいいですね。男と女というより人と人との関わり合いに重きを置いています。
独りよがりだと相手の立場や気持ちをおもんばかることができません。相手が離れてしまってからその人の大切さに気付いても遅いわけです。そのあたりをピーターさんの心の変化を通して上手く我々に語りかけているように思えます。

ピーターさんが湖でかっこつけて魚釣ってるの、ちょっと可愛かったですねえ。エル・ファニングが少しずつピーターさんに惹かれてるのも見て取れて微笑ましかったなあ。
「みんなが生きてたときのほうが孤独だった」という台詞がありましたが、人間社会の中で生きていても通じ合える誰かがいなくて寂しいと思うことこそが真の孤独なのでありましょう。だからピーターさんは彼女を追いかけた。ある事から彼女を救うためでもあったけれど、あれはピーターさんに人としてあたりまえの感情が戻った瞬間でもあったわけですね。
どんな形であれわたしたちは誰かの存在を必要として生きているのだなあ、とあらためて思います。

一見不思議な映画ですが、とても深いものを感じましたね。2人の演技も素晴らしくて印象に残る作品でした。邦題もいいですね。