ガツンとくるやつ、ください。

新作・旧作・ジャンル問わず。海外映画が好き。作品により多少のネタバレ含みます。

ヘヴィ・トリップ 俺たち崖っぷち北欧メタル! / 俺らノルウェーさ行くだ!!

f:id:madamkakikaki:20201003030421j:plain

フィンランド北部の田舎町。25歳のトゥロは仕事の傍ら3人の幼馴染(ユンキ, パシ, ロットヴォネン)と共にヘヴィ・メタルのバンドを組んでいる。
いつかは大きなフェスに出場できることを夢見て練習にいそしむ彼らだが、実は結成して12年間 他バンドのコピーしかしておらず、ステージに立ったことすらない。

世に出るにはまずオリジナル楽曲を作らなければという強い意志を固めた彼らは、試行錯誤の末とんでもなくイケてる(?)楽曲を作り上げる。そしてたまたま用があって町に来たノルウェーの巨大メタルフェスの主催者にデモテープを渡すことができた。

遂に千載一遇のチャンスが訪れたと張り切るトゥロたちに、果たして運命の女神は微笑むのであろうか…。



私事ですが 今から遡ること30ウン年、大学生になってすぐロックバンドのサークルに入りまして、ヨーロッパとかストラトヴァリウスとかボン・ジョヴィとかディープ・パープルとかその他諸々のハードロック系にハマりました。

いや別にわたしが「ヴォウェェェェェェーーー!」と吼えてたわけではないんですが、キーボード叩きながらヘドバンとか頑張ってたなあ〜 と思ってね。 (遠い目)


当時「北欧メタル」という言葉があったかは知りませんが、何しろああいうハードロックバンドが昔から北欧に多かったのは事実です。

で、本作の舞台がフィンランドと聞いて「わぉ、ストラトヴァリウスのとこやん!」と思ってたら そのストラトヴァリウスのラウリ・ポラーが音楽を担当したとのことで、もう感動に打ち震えましたよ。


ちなみに公式サイトによれば

フィンランドは人口10万人あたり53.2のメタルバンドが存在し、人口比率で世界で最も多くのメタルバンドがいるメタル超大国である。総人口が約550万人といわれ、計算すると約3,000のメタルバンドが活動していることになる。

崖っぷち豆知識│『ヘヴィ・トリップ』公式サイト

だそうで、これまたすごいお話であります。



冒頭から道の真ん中に普通にトナカイがいたり、トゥロがロン毛をなびかせて自転車漕ぎ漕ぎ出勤してたりしてて面白いです。

カッペのヤンキーたちから「ホモ〜」とからかわれ言い返すこともできなければ、緊張すると吐いてしまうほどナイーブなトゥロ。
どっかで見た顔だなと思ったら『アンノウン・ソルジャー』に出てたヨハンネス・ホロパイネンでした。ロン毛もなかなか似合っててかっこいいよね。

f:id:madamkakikaki:20200827000247j:plain


さて、そんなトゥロがボーカルをつとめるヘビメタバンド「インペイルド・レクタム(直訳すると“直腸陥没” ) 」が掲げるジャンルは、


“終末シンフォニック・トナカイ粉砕・反キリスト戦争推進メタル” death!



いやいやトナカイ粉砕って何だよ(笑)いくらロツトヴォネンの実家がトナカイ解体業だからってねえ…。
そういえば初めてのオリジナル曲「溢れ出す分泌物」は解体作業場で生まれたんだったね。あのシーンは面白かったなあ。

てかトナカイつっかえてるから! どうにかしてやれよ可哀想だろ!

f:id:madamkakikaki:20200827001316j:plain


というわけで 何から何までキラーすぎるカッペのヘビメタバンドですけども、メンバーみんな異端児と言いつつもバカで純朴で素直で愛すべきいい子たちなんですよ。

なのでユンキの一件は本当に悲しかったんだけど、そのあと出てきたプロモ写真のせいで しんみりした気分が一瞬にして吹っ飛んでしまうというね、「いつまでもしょぼくれてんじゃねぇ笑いやがれ」みたいな姿勢が非常にメタルでりっぱでした。


f:id:madamkakikaki:20200827010059j:plain オービスで撮るとかアホやろw


それにしてもフェス出場の噂を聞いた町の人たちの変わり身の早さよ。あれだけ彼らをバカにして蔑んでたのが「いやぁ我が町の誇りだよ」とか言っちゃって、ああいうのはどこも同じなんだね。
田舎だから余計にそうなのかもしれないけど、往々にして人は自分勝手で見栄っ張りで偏見の塊だということですな。


前半の人物描写やオリジナル楽曲のできる過程がとても良かっただけに、後半どんどんギャグ重視のご都合主義に流れていったのはどうしたもんかと思いはしたんだけど、まぁ本作にそこまで深いものを求めるのもおかしいし、何より監督が
「北欧映画は暗いものが多いしコメディがないから 思いきり笑えるやつを作りたかってん」

みたいなことを言っておられますのでね、「わーまじあり得ねぇ!笑」とか盛り上がりながら観るのがいいのかなと思います。


そう考えると、国境越えのシーンなんかは相当面白かったですよ。
あの女性軍曹のキャラとかデルタ部隊とか、ああいう全く意味のないくだらなさもオレ嫌いじゃないよ。むしろすき。

f:id:madamkakikaki:20200827021244j:plain


というわけで、これから観る予定の人も多い(多いのか?) でしょうからストーリー展開に関してはほとんど触れていません。
ま、なにしろ面白かったし劇中の音楽もさいこうでした。北欧ならではの雄大で美しい自然も楽しめます。
※ 但し “もらいゲロ体質” の人は気をつけて。


初の長編映画なおかつ爆笑コメディでここまで仕上げてきた二人の監督さん、あっぱれです。




作品情報
▶原題 Hevi reissue
▶監督 ユッカ・ヴィドゥグレン, ユーソ・ラーティオ
▶脚本 ユッカ・ヴィドゥグレン, ユーソ・ラーティオ
▶製作年 2018年
▶製作国 フィンランド, ノルウェー
▶出演 ヨハンネス・ホロパイネン, ミンカ・クーストネン ほか