ガツンとくるやつ、ください。

新作・旧作・ジャンル問わず。海外映画が好き。作品により多少のネタバレ含みます。

火車 HELPLESS

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火車 HELPLESS (2012) 화차

【 愛は時として無力であり、地獄である。】


”ミステリーの女王” 宮部みゆき著『火車』を原作とし、ピョン・ヨンジュ監督が3年かけてシナリオを練り上げた非常にエモーショナルなサスペンス映画です。
火車(かしゃ)とは、生前に悪事をした亡者を乗せて地獄へ運ぶ火の車のことですね。

失踪した婚約者は名前も素性も知らぬ全くの別人でありました。男は彼女の過去を探るうち、婚約者だった女がとんでもなく恐ろしい事件に関わっていることを知ります。
実はこの女、借金問題で身の危険にさらされており、生き残るために身分を隠して他人の人生を盗んでいたのでした。


と、ここまでは原作と同じです。

もともと原作は、バブル崩壊後カード破産など借金問題を抱える人が増えた、という社会問題を絡めたミステリー小説として書かれています。なので事件を追う刑事が主役であり、事件そのものがメインのストーリーです。
それに対して韓国の『火車』では、失踪した婚約者と彼女を愛した男の複雑な心情を痛いほどえぐり出します。つらいです。悲しいです。怒りもおぼえます。

日本の『火車』と決定的に違うのは、彼女の過去を知った男がとった態度です。ゆえに結末も全く異なり衝撃的なものとなっています。
この一連のシークエンスは実に韓国らしいと言いますか、ここまでアレンジして大丈夫なのかと思いましたけれど、宮部みゆきさんが絶賛されたとのことなのでやっぱり素晴らしい脚本なのですね。逆にそれだけ原作の完成度が高いということでありましょう。
いずれにしても、クレジットカードは借金であるとかサラ金行くくらいなら自己破産とか、そのへんの教訓を含んでいるのは間違いありませんのでね、これは現在の韓国の人々にも刺さるのではないでしょうか。

『お嬢さん』でもそうでしたが、キム・ミニの演技は本当に素晴らしいですね。イ・ソンギュンも役にぴったりはまっていたし、お話の中心となる3人のキャスティングは見事です。
本作を観てから原作を読むも良し、原作を読んだことのある人ならなおのこと、この韓国版『火車』をご覧になっていただきたいと思います。おすすめです。


 

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  • 発売日: 2013/02/06
  • メディア: DVD