ガツンとくるやつ、ください。

新作・旧作・ジャンル問わず。海外映画が好き。作品により多少のネタバレ含みます。

ゴーストランドの惨劇 / あの日の惨劇、ふたたび

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ゴーストランドの惨劇 (2018年 フランス・カナダ) GHOSTLAND / INCIDENT IN A GHOSTLAND



あの『マーターズ』の監督 パスカル・ロジェの最新作ということでかなり期待値高めで観ましたよ。いやぁ面白かったですね。いきなりラブクラフト出てきてなんじゃらほいと思ったらこれも一つの伏線でしたね。
ラブクラフト・・・ アメリカの小説家で怪奇小説の先駆者。


ベス(妹):ホラー作家志望の陰キャ。ラブクラフトに傾倒している。
ヴェラ(姉):自由闊達な陽キャ。妹ばかり可愛がられているのが不満。(たぶん思い込み)

叔母の家を譲り受け住むことになった母娘が 引っ越してきたその日に二人組の暴漢に襲われ、必死の抵抗の末ママンが火事場の馬鹿力でもって暴漢をKILL。
月日は流れ、ベスは当時の事件を元にした『ゴーストランドの惨劇』を出版、押しも押されぬ人気作家になっていた。
優しいイケメン夫と可愛い息子に恵まれ、輝かしく幸せな人生がこれからも続くはず・・・だった。そう、姉からのあの電話が鳴るまでは。


ゴーストランドと言うからにはオカルトちっくなおどろおどろしい話かと思いきや、うわぁそういうことやったんかい!とかなりびっくりしましたよね。
まあロジェ監督のことですから驚天動地の展開を見せるであろうことは予想してましたけど、それにしてもショックだったなあ。ママン・・・

可愛い嬢ちゃんがいつ終わるとも知れない理不尽な暴力や苦痛を受け続けるという、観る人によっては非常に胸糞悪い反モラル的な作品かもしれません。
このパスカル・ロジェという人はほんとに嬢ちゃんたちを痛めつけることに心血を注いでおるなあとつくづく思うわけですが、よくよく考えると彼女たちは決して精神的に屈してはいない。
力では負けていても知恵を出し機転を利かせ どうにかして窮地を抜け出そうと頑張るんですね。いざと言うときの女性の強さとか生に対する執念なんかをひしひしと感じるわけです。

なので同じ女性として(若い嬢ちゃんじゃないけどなワシ) 頼もしいというか 頑張れ頑張れとエールを送りたくなるし、ひいてはこの映画と関係無しに世の嬢ちゃんたちに「自分は非力だと思うな、困難には立ち向かえ、夢や成功は自分の手で勝ち取れ!!」と熱血教師さながらに檄の一つも飛ばしたくなるわけですよ。

で、ええと、つまり何を言いたいかというとだな、この映画は単に残虐なシーンをこれでもかと見せつけて恐怖を煽ることが第一の目的ではないということですね。
もちろんバイオレンスホラーですから怖いです。痛いです。でもこの嬢ちゃんたちの身に起きたいろんなことが我々の人生そのもののメタファーだとしたらどうですか。
この世知辛い世の中を生き延びるため我々に大切なものは何か。その時々で何をして何をすべきでないのか、という ある意味真理みたいなものをこの作品は含んでいるような気がするんですよね。

といつになく真面目な話をしたところで今回のレビューを終わります。
それにしてもベスの妄想力はすごいですね。きっといいホラー作家になることでしょう。
妄想に関してはわたしも子供時分から自信がありましたけど、このベス嬢ちゃんには敵いません。
や、ほんとに面白かった!!もう一回観よ。