ガツンとくるやつ、ください。

新作・旧作・ジャンル問わず。海外映画が好き。作品により多少のネタバレ含みます。

複製された男

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複製された男 (2013) Enemy


ノーベル賞作家ジョゼ・サラマーゴの小説『 The Double 』を原作とした非常に難解(ぽい)映画です。監督は「プリズナーズ」「メッセージ」のドゥニ・ヴィルヌーヴ。観る前からもう一筋縄ではいかない予感。

日本版のキャッチコピーでは「脳力が試される」などと煽っていますね。そこまで言うなら試されてやろうじゃないかと腰据えて観てみましたよ。そしたらですね、よくわかりませんでした。

というわけでもう一度観たんですけれど、これはねー、邦題に惑わされるとわけがわからなくなるアレですね。

原題は「Enemy」(敵)です。敵とは何のことなのか、見えるものか見えないものか、なぜ敵なのか、それがわかってくるとこの映画は非常に面白くなると思います。
2人のジェイク・ギレンホールがドッペルゲンガーでも二重人格でもなくどちらも本人そのものであるということは、母親の台詞でわかります。また、あの事故の翌朝のシーンから、それまでの出来事は全てジェイクの潜在意識の中で起きたことだと推測されます。


そして謎の蜘蛛。これはジェイクの講義で何度も出てきた「支配する者」つまり母性(母親と奥さん)のメタファーではないかと思います。

彼は奥さんの妊娠を機に浮気をやめようと決意したものの性欲を抑えきれない。もがき苦しむ途中で蜘蛛が出てきて衝動を抑えます。そして遂に自分と浮気相手を(潜在意識の中で)殺します。


ラストシーンでジェイクがでっかい蜘蛛を見てため息をついたのは、全てを見透かしていた奥さんの存在に恐れをなして、やっぱり浮気は無理かと諦めた。まあそんなところじゃなかろうかと思いましたね。

男を女が支配しているなんて、わたしそんな権力者ぶってなんかないわよと世の奥様方に怒られるかもしれませんが、酸いも甘いも噛み分けたアテクシに言わせりゃ男なんてね、自分の欲がかなわないとすぐ妻や彼女のせいにして「俺は抑圧されてるんだよ」などとほざくのでありますよ。そうじゃない人ももちろんいますけどね。
そんなわけで人によって違う解釈がありそうな映画ではあるけれど、結局「性欲を抑えられない男がこれじゃいかんと自分をやっつけようとするけれど、やっぱり浮気したくてたまらない。でも最後は観念して奥さんに戻る話」これでよろしいんじゃないでしょうかね。

脳力というより年期と経験による一考察ということで、めでたしめでたし。


 

複製された男 (日本語、吹替用字幕付き) [Blu-ray]

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  • 発売日: 2014/12/24
  • メディア: Blu-ray