ガツンとくるやつ、ください。

新作・旧作・ジャンル問わず。海外映画が好き。作品により多少のネタバレ含みます。

僕たちは希望という名の列車に乗った

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僕たちは希望という名の列車に乗った (2018年 ドイツ) Das schweigende Klassenzimmer


ベルリンの壁が建設される5年前、1956年の東ドイツのお話です。検閲はあるものの比較的自由に東西ドイツを行き来できた頃。

ハンガリーで起きた民衆蜂起にソ連軍が武力介入し多数の人々が死んだことを知った高校生テオが、犠牲者の哀悼のためクラスメートに呼びかけて2分間の黙祷を行ったところ、体制への反逆行為として当局の調査が入り、言い出しっぺを明かさなければ全員退学させると脅されます。

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「はあ、何だそれ」と思いますが、当時の東ドイツはソ連の影響下にあり、彼らの行為は共産主義を批判したものと見なされたわけですね。

毎日繰り返される執拗な尋問、家族のことをちらつかせるなど卑劣な手口で口を割らせようとする役人のまあ憎たらしいことよ。
大人ってのはどの国もいつの時代も汚ねえな!!と大人のわたしが腹が立つほど陰険であります。

 


高校生たちは悩みます。密告すれば自分は助かる。卒業できるし大学にも進学できる。
エリートの道を取るか、肉体労働者として生きることになっても信念と友情を取るか。このあたりからぐっと青春ドラマ色が強くなります。ちょっぴり甘酸っぱい恋愛要素もいいスパイスになっていますね。

当然ながら親も巻き込まれていますので親子のやり取りも細かく描かれますが、これがまたいいんです。
わたしが彼らの親だったら子供のためにどんな決断をするだろうか、テオのお母さんと同じことを言えただろうかと正直心が揺れ動いておりました。
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終盤で高校生たちがとった行動は本当にあっぱれでした。エンドクレジットで本人たちの写真とその後の彼らのことが書かれていましたが、まさか5年後にベルリンの壁が作られるとは思ってもいなかったでしょう。

当事者の一人で原作者のディートリッヒ・ガルスカ氏は2018年に亡くなっていますが、みんなどんな人生を送ったのかなあとすごく気になりました。
そのへんが書いてあるかどうかはわかりませんけれど、ぜひ原作本『沈黙する教室』を読んでみたいと思います。
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親としては非常に辛いシーンもありますが、子供には子供の信念や生き方があるわけで、これからも(も?)それを尊重できる親でありたいとあらためて思った次第です。

とてもいい映画でした。これは若い人たちにもぜひ観てほしい秀作ですね。

 



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  • 発売日: 2019/12/04
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