ガツンとくるやつ、ください。

新作・旧作・ジャンル問わず。海外映画が好き。作品により多少のネタバレ含みます。

プーと大人になった僕

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プーと大人になった僕 (2018) Christopher Robin

【 僕が、君を待っていたのかもしれない。】


もともと「くまのプーさん」は、イギリスの作家A・A・ミルンが息子クリストファー・ロビンに話して聞かせるために、子供部屋にあったぬいぐるみたちを主役にして作ったお話であります。なので、クリストファー・ロビンがプーさんたちと100エーカーの森で遊んでいたというのはあくまでも童話の中の世界です。
この映画はその童話の中の世界を現実のものとして、大人になったクリストファー・ロビンのもとにプーさんが訪ねてくるという、ある意味パラレルワールドのようなお話になっております。いいですね、こういう世界観。

クリストファー・ロビンは家庭を持つ中年になっていますが、プーさんたちぬいぐるみは数十年前のままの姿で暮らしています。このぬいぐるみたちの、子供の手垢で薄汚れてくたびれている感じが非常によろしいです。プーさんが喋る様子は下品でないテッドのようです(これは余計でしたかね)。そういやオウルとラビットはぬいぐるみじゃなくて本物なんですよね、確かにぬいぐるみとは動きが違う。そのへんもうまく作ってあります。

突然あらわれたプーさんたちを、びっくり仰天しつつもわりとすんなり受け入れる奥さんや娘さんがとっても素敵です。仕事の大事な書類を届ける途中で娘とプーさんたちが街中で繰り広げるドタバタ劇もおもしろい。ティガーとイーヨーの噛み合わない会話とかもクスッと笑えていいですね。
世界観やぬいぐるみの雰囲気だけでなく、この映画で素晴らしいのは何と言っても「会話と言葉」であります。
プーさんたちは昔のままですから、子供時分に戻って話をしなければ伝わりません。仕事の話をするときなんかは特にそうです。「なぜ?」にわかりやすく答えなければいけないわけです。結局それは自分の娘に思いを伝え、同時に娘の気持ちを理解することにつながるわけですね。

「何もしないことをする」「楽しくないね」といった単純な言葉の中に深い意味が込められているのも本作の魅力であります。
仕事仕事で家族とまともなコミュニケーションがとれない、いい学校に入れるのが子供のためと勉強の本しか読ませない、そんなクリストファー・ロビンに、本当に大切なものは何かをプーさんが気付かせてくれたような気がしますね。
子供のような大人というのはちょっと問題ありですが、たまに童心に帰るのはいいことだとわたしは思います。
何かに行き詰まったとき、子供の頃の自分を思い出すことでものの見方が変わったり何かヒントを得たりして解決策を見出すことができるかもしれません。子供と同じ目線になりレベルを下げて話をすることで、聞き分けのない子供を諭すことができるかもしれません。

プーさんの声でお馴染みのジム・カミングス、実はティガーの声もこの人がやってるのご存知ですか。真反対なこの二人のキャラクターの演じ分けが本当に見事ですね。こだわりのない人はぜひ字幕版でご覧になっていただきたいと思います。
ユアン・マクレガーと奥さんのヘイリー・アトウェルに至ってはもうね、最高のキャスティングでありました。楽しかったよ。


 

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  • 発売日: 2020/09/04
  • メディア: DVD