ガツンとくるやつ、ください。

新作・旧作・ジャンル問わず。海外映画が好き。作品により多少のネタバレ含みます。

ブラインド・スポッティング / 一生ダチでいるために

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ブラインド・スポッティング Blindspotting (2018年 アメリカ) / 監督:カルロス・ロペス・エストラーダ

幼馴染で親友同士のコリンとマイルズ。互いのことは何でも知っていると思っていた二人の青年が、ある事件をきっかけにそれぞれの世界の見え方が全く違っていたことに気付かされる。

若者たちの溢れる地元愛と小気味よいラップが超イケてるヒップホップグラフィティ。

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本作の舞台はアメリカのカリフォルニア州オークランド。実際に長年の友人であるダヴィード・ディグスとラファエル・カザルが二人で脚本を書き主演をつとめたというから面白いですね。

さて、主人公の二人についてざっと書くと、まずマイルズは貧乏な白人です。見た目は地元のヤンキーといったかんじ。奥さんは黒人系です。

人種がどうこうより偉そうな態度で見下してくるいわゆる“意識高い系” の白人に対して敵意を持っていて、他所から入ってくる彼らによって地元愛とともに培ってきた自身の個性が潰されてしまうことを恐れているようです。

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一方、コリンは黒人ですので、周囲に白人が増えてくることそのものが恐怖です。

いくらオークランドがよそ者に寛容な地域だとしても、黒人というだけでレイシャルプロファイリングの対象となってしまうので、マイルズのように本能の赴くまま行動するわけにはいかないんですね。

もし警察とトラブルになりマイルズとコリンが同じように白人警官を殴ったとしたら、撃たれるのは黒人であるコリンなんです。マイルズはそこがわかっていない。


コリンの元カノであるインド系女性が「ルビンの壺」の話をします。壺の絵にも見えるが向かい合う二つの顔にも見える騙し絵「ルビンの壺」。

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人は同じものを見ていても“見えている“ものは違う、そしてその両方を同時に見ることはできないというものですね。つまり

物事には『絶対盲点(ブラインド・スポッティング)』がある

ということをわたしたちは頭に置いておかなければなりません。

そして物事を一方からだけでなくもう片方からも見る努力をしなければならない、ということです。


マイルズは、二人が同じ環境で同じ経験をしながら育ったけれど 片や白人、片や黒人であったためにコリンの世の中の歩き方が自分と全く違うということを知ります。
コリンもまた、マイルズと本音でぶつかったことで白人社会の中で虐げられる立場にあるマイルズを理解することができたでしょう。


彼らは同じ人間として腹を割って話ができる親友であることには間違いないし、ちょこちょこ喧嘩しながらもヒップホップの精神でお互いを支えあって行くんだろうと思います。これまでも、そしてこれからも。

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長編初監督作品とは思えないほど大胆でスタイリッシュで、何よりヒップホップに乗せた言葉の一つ一つがかっこいい。
オバマ前大統領がお気に入りの映画というのも頷けます。や、楽しかった。

 

(追記)
今まさにタイムリーな “レイシャルプロファイリング” の問題について 同じオークランドで起きた事件(こちらは実話)を題材にした『フルートベール駅で』という映画もおすすめです。

 

『フルートベール駅で』の感想はこちら↓↓↓ 

berukocinema.info