ガツンとくるやつ、ください。

新作・旧作・ジャンル問わず。海外映画が好き。作品により多少のネタバレ含みます。

ブレイブ・ロード 名もなき英雄

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ブレイブ・ロード 名もなき英雄 (2017年 トルコ) AYLA: THE DAUGHTER OF WAR

戦災孤児の面倒を見ます。


朝鮮戦争において国連軍と言えば 韓国・アメリカ・イギリスでありますが、それだけではなく戦闘支援として様々な国が参戦しました。中でも独立した戦闘旅団としてまとまった兵力を送った国の一つがトルコです。
特にトルコ旅団は中国軍が参戦した直後の苦しい時期を戦い、国連軍を全滅から救った立役者でもあります。そんな経緯もあって韓国とトルコには深い繋がりがあるんですね。


スレイマン:トルコ軍の下士官で車両整備のプロ。虫も殺せぬほどの優しい性格。恋人あり。  

アイラ:戦災孤児になったところをスレイマンに救われる。推定5~6歳の女の子。

ある夜、林の中を移動中のスレイマンたち一行は 虐殺された村人たちの大量の死体を発見します。
その中に一人生き延びている幼い少女を見つけたスレイマンは、その子を駐屯地に連れて行き「アイラ」という名前をつけます。これはトルコ語で月明りを意味する名前。

月明りの中で見つけたからアイラ。何ともロマンティックだなあ。まあ見るからにロマンティックを絵に描いたような男ではありますけどね。
上官のはからいもあり、アイラはトルコ旅団で家族のように暮らし始めます。みんなアイラが可愛くて仕方ありません。

朝鮮戦争中、実はアイラのように他国軍に保護された戦災孤児がたくさんいました。本来戦災孤児は自国が責任持って保護しなければなりません。なのでアイラもいずれ韓国に引き渡されることになる。
トルコ旅団も任期が終われば国に帰るのだから、どっちにしてもずっとアイラを置いておくことはできないわけです。

 

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スレイマンをパパと慕って離れないアイラ。スレイマンもまた我が子同然のアイラが愛おしく 離れることなど考えたくもない。連れて帰れないなら自分も国に帰らないとまで言い出す始末で上官に怒られたりもします。気持ちはわかるが故郷で待っている恋人のことを考えろと。まあね、そりゃそうだ。

そうこうしているうちに、遂にスレイマンは強制的に帰国させられることになります。「いつかきっと迎えに来る」とアイラに約束して船に乗るスレイマン。

f:id:madamkakikaki:20200731001619j:image この泣き顔がたまらんではないか

 

そして60年の月日が流れ (ろろろ60年!) あるドキュメンタリー番組の企画が持ち上がったことがきっかけで 長らく止まっていた二人の運命の歯車が再び動き出します。
アイラよ、私の娘よ、どうか生きていておくれ。幸せでいておくれ・・・
妻と共に韓国へ向かうスレイマン。いやーもう観てるわたしも感極まって目が滝になりましたよね。韓国映画ばりの感情の揺さぶり方にやられました。

お察しのとおりこの映画は戦闘シーンが主体ではなく、出会いと別れそして再会、さらに国を越えた親子愛という 人と人との関わりを描いた作品です。
人が主体ですから人物描写も丁寧になされていて登場人物全てに存在感があり、サイドストーリーにもちゃんと意味を持たせている。いい映画の証拠ですね。

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ちなみに若き日のスレイマンを演じたイスマイル・ハジョウルさんが何となく武田真治に似てると思うのはわたしだけでしょうか。
まあそれはともかく、単なるお涙頂戴でなく娯楽性もきちんと考えられた作品なのでダレることなく観られます。一箇所最高に突っ込めるところがあるのも面白いよ。

久しぶりに身体中の水分を持って行かれて干からびそうです。
惜しむらくは変にかっこつけた邦題ね、どうにかならんのこれ。絶対『アイラ』で正解でしょ。なんでこんな邦題にしたのか 担当者を小一時間ほど問い詰めたいくらいですね。