ガツンとくるやつ、ください。

新作・旧作・ジャンル問わず。海外映画が好き。作品により多少のネタバレ含みます。

生きてこそ

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生きてこそ (1993) ALIVE

【 生きて帰る、ただそれだけだった。】


1972年10月、ウルグアイの学生ラグビーチームの青年ら45名を乗せた飛行機がアンデス山脈に墜落、その72日後に16名が奇跡の生還を果たしたという実話を映画化した作品です。
これ、26年も前の映画なんですねえ。若くてトゥルトゥルのイーサン・ホークがたまりません。

このお話には、奇跡の生還という喜ばしいニュースの陰に、生き延びるために死んだ仲間の肉を食べて飢えをしのいだという重い事実がありました。生存者たちはこのことで世間の奇異な目や批判にさらされ、記憶を封印するように生きてきたといいます。

冒頭である人物が言います。「みんな、自分がその場にいたら食べなかった、というけれどそんなことに意味はない。だって、その場にいなかったのだから。」
これはね、非常に重い言葉ですよ。飢えも寒さもない、まして命が脅かされる状況でもない安全な環境でのほほんとニュースを見ている人間に、彼らの気持ちなど理解できるものではありません。葛藤の末に苦渋の決断をした彼らの行動を「罪だ」と咎める権利は誰にもないはずです。

この映画には「神」という言葉が多く出てきます。彼らはカトリック学校出身の敬虔なクリスチャンなので当然です。
DVDの特典映像のなかで、生存者の一人がこう言っております。「僕らは神の存在を感じた。生き延びなければ神の奇跡に背を向けることになると思った。」


わたしはクリスチャンでもないし特定の信仰を持つわけでもありませんが、あの状況で72日間も飢えと寒さを耐え抜き16名が生還したことは紛れもなく奇跡と言えるでしょう。
そして何より、彼らが生きるための一線を越えたとはいえ、強い精神を保ち人間性を失わなかったことに驚きでした。まさにこれこそが真の奇跡なのではないかなあ、とわたしは思います。