ガツンとくるやつ、ください。

新作・旧作・ジャンル問わず。海外映画が好き。作品により多少のネタバレ含みます。

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う

f:id:madamkakikaki:20200822200042j:image

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う (2015年 アメリカ) Demolition

奥さんが亡くなったのでおかしくなったエリート銀行マンの、破壊と再生の物語。”ミスター極端” ことジェイク・ギレンホールが色んなものをぶっ壊したり街なかで飛び跳ねたりします。

*********************

「幸せを掴もうともがいている人に興味がある」と言うジャン=マルク・ヴァレ監督。わたしの大好きな映画『ダラス・バイヤーズ・クラブ』や『わたしに会うまでの1600キロ』など、”人間の生き方” を描くことに非常に長けた監督さんであります。

エリート銀行マンで富も地位も手に入れた、でもどこか味気ない生活。交通事故に巻き込まれて奥さんが死んだのに他人事のように無表情、悲しみに暮れることもなく翌日出勤して周りがドン引き。
この人には感情がないのか、奥さんを愛していなかったのか、それとも現実を認めたくないだけなのか。

予想外の不幸に見舞われたとき、わたしたちは何をするでしょうか。誰かにつらい気持ちを聞いてもらって落ち着いたり、気を紛らわすために趣味に没頭したり全く新しいことを始めたり、これまでの自分自身を振り返ってみたりと、状況を良い方向に持っていこうとしますよね、たいていは。
ところがこの主人公は、身の回りの色んなものを壊し始めます。家電はおろか職場のパソコン、しまいにゃ家まで壊そうとします。ブルドーザーもネットで買ったんだとか言ってバカなの、と思いますけれど、決して自暴自棄になったわけではないというのが面白いところです。

この破壊行為は主人公が自分の心を一度解体して組み立て直すためのプロセスなわけで、それは初めて人間の内面に目を向けたということなんだろうと思います。
そんな中である女性とその息子に出会い、新しい関係を築いていくうちに、これまでとは違う生き方ややりたいことを見つける。
きっかけは悲しいことだったけれど、本作のキモは主人公の苦悩ではなく再生のための道のりなんですね。そういう意味で暗くない、とても前向きなお話だと思いますよ。

ジェイク・ギレンホールやナオミ・ワッツはもちろん、子役がとてもいいですね。クリス・クーパーが終始困り顔なのもいい。恋愛に発展しそうでしない寸止め感も好感が持てます。
原題の『Demolition』が何で『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』なんてエモい邦題になったのか不思議でしたが、劇中に出てくる言葉だったんですねえ。
てか、それあんまり関係ないんでねえの。もうちょっと原題の意味を汲もうよ、ねえ、配給会社の担当の人。


 

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う [Blu-ray]

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う [Blu-ray]

  • 発売日: 2017/09/22
  • メディア: Blu-ray