ガツンとくるやつ、ください。

新作・旧作・ジャンル問わず。海外映画が好き。作品により多少のネタバレ含みます。

記者たち 衝撃と畏怖の真実

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記者たち 衝撃と畏怖の真実 (2017 アメリカ) SHOCK AND AWE


イラク戦争の大義名分となった大量破壊兵器の存在に疑問を持ち、真実を追い続けた地方紙記者たちの奮闘を描いた社会派ドラマ。
ジャンルにこだわらない名匠ロブ・ライナー監督が、忖度だらけ・フェイクニュースだらけの現代社会に生きるぼくらに送る「はたらくおじさん・新聞記者編」だよ!どどーん!!

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そもそもイラク戦争が起きたきっかけは、1991年の湾岸戦争にまで遡ります。
湾岸戦争の停戦協定締結後の査察をイラクが拒んだため、どうも怪しい、イラクは大量破壊兵器を隠してるんじゃないかと疑っていたところに9.11のテロが起きました。ご存知のとおり9.11 はアルカイダの仕業ですが、アメリカはビンラディンを取り逃してしまいます。

無能のレッテルを恐れたあたまのわるい某大統領と愉快な仲間たちは、こじつけでも何でもいいからビンラディンとフセインをくっつけて、ついでに大量破壊兵器の存在もでっち上げてフセイン倒しちゃえ、そしたらボクたち世界の平和と安全を守るグレートワールドポリスメン!! と言ったかどうかは知りませんが、とにかく嘘の情報でアメリカ中を扇動し、戦争もやむなしという世論が高まっていったわけですね。

本作の劇中、ウディ・ハレルソンが同僚のジェームズ・マースデンに「俺たちが記者を志したのは、ウォーターゲート事件を暴く記者の映画を観たからなのに」とグチるシーンがありますが、これは1976年の『大統領の陰謀』という映画でして、真のジャーナリズムとは何たるかを描いた秀作でありますね。
ちなみに『大統領の陰謀』で政府の嘘を暴いたワシントン・ポスト紙が、本作ではイラク侵攻を後押ししたという皮肉にも笑えない事実があったりなんかします。

本作は、純粋に新聞記者のお仕事という視点で見ても面白い映画です。また、部下の働きをきちんと評価できる有能で頼りがいのある上司の存在というのも、本作の魅力のひとつです。ロブ・ライナーみたいな上司がいたら俄然お仕事頑張れそうですよね。

こういう映画を観ると、嘘つきの政府やそれに忖度して偏向報道をするメディアに腹が立ちますけれど、よく考えればわたしたち受け取る側にも責任があります。
下世話なスクープを期待し、確かな証拠もないのに大喜びで拡散・炎上させる、気に食わない情報をウソだと決めつけたり1を10だと解釈する、何かにつけ自分の基準で右だ左だと発言者を叩きまくる。こんなことが当たり前の社会でわたしたちは生活していますよね。
メディアに正しい報道とモラルを求めるなら、わたしたちも自身が「真のジャーナリズム」の一翼を担っているという意識を持たなければならないのではないかなあと、ウディ・ハレルソンのもっこり股間を眺めながら大真面目に思った次第です。

そういえば近々『バイス』もレンタル開始になりますね。こちらもかなり楽しみです。