ガツンとくるやつ、ください。

新作・旧作・ジャンル問わず。海外映画が好き。作品により多少のネタバレ含みます。

ファーナス 訣別の朝

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ファーナス 訣別の朝 (2013) Out of the Furnace


ある出来事をきっかけに全てを失い、絶望の淵に追い込まれた男が立ち上がります。

オスカー俳優そろい踏み、そしてレオナルド・ディカプリオ、リドリー・スコットが製作に名を連ねるという垂涎もの。冒頭からウディ・ハレルソンが安定の悪役ぶりでひゃっほいです。

クリスチャン・ベール兄ちゃんというと「ザ・ファイター」のヤク中ダメダメ兄貴を思い出しますが、本作では製鉄所で真面目に働く家族思いのいいお兄ちゃんです。弟のケイシー・アフレックは、4度もイラク戦争に行ったのに国は何もしてくれないと嘆いています。
この兄弟関係の描き方がすごく良くてですね、お兄ちゃんは本気で弟のことを心配しているし、弟も本当に兄ちゃん大好きなんだなってのがありありと伝わってきます。

クリスチャン・ベールの抑えた感情が、というより、この人は感情を抑えることの出来る「男の中の男」なんだけれども、後半で心の奥底に抑え込んでいたものをガーッと出します。俺がやらなきゃ誰がやってくれるんだとね。そう、もはや国は頼りにならないんです。
ウディ・ハレルソンと対峙するシーンはもう鳥肌ものです。まさに、名優の魂むき出し演技対決だね。ブラボーでございますよ。

主人公のみならず登場人物たちそれぞれが何かしら怒りや喪失感を抱いて生きていて、そこから抜け出す者もいれば泥沼にはまり抜け出せなくなる者もいる。
こんな世の中にしたのは誰か。国か、大統領か、それとも自分自身なのか。それでも人は生きていくしかない。結局頼れるのは自分だけなのだから。
「喪失」に落とし前をつけた男は、これからもこの国で、生きてゆくのでありましょう。